ヴェルディユース初の教え子の最終戦で、
永井秀樹監督は何を語ったか

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

 負ければ、プリンスリーグからの降格もあり得る試合。それでも、永井には育成を任された指導者として、勝利を求めること以上に大事にしたいものがあった。それは、決して譲れないものだった。

 Jリーグ下部組織における育成とは何か――。

 言うまでもなく、ひとりでも多くの選手をトップチームに昇格させることだ。そのためには、成功体験以上に、今の年代だからこそ経験すべき"前向きな失敗"が必要だと、永井は考えていた。

 ゆえに2017年シーズン、永井は先発メンバーを固定せず、練習試合はもちろん公式戦でも1年生から3年生まで全員、できる限り起用してきた。ポジションも複数経験させて、プレーヤーとしての幅を広げることに注力した。

 前シーズンまでとは、まるで違うスタイルである。おかげで、シーズン当初は大敗が続くなど、"勝利"という結果はなかなかついてこなかったが、永井がその方針を変えることはなかった。それはプリンスリーグでも、最終節までずっと変わらなかった。

(つづく)

◆あえて言う。国内最高のSB、車屋紳太郎と西大伍は「海外組」に勝る>

◆選手が2人になっても諦めない。ユース監督・永井秀樹のヴェルディ再建>

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