あえて言う。国内最高のSB、
車屋紳太郎と西大伍は「海外組」に勝る

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

2018年、私のイチオシ「Jリーガー」(3)
車屋紳太郎(川崎フロンターレ/DF)&西大伍(鹿島アントラーズ/DF)

 近代サッカーでは「サイドバック(SB)が活躍したほうが勝つ」「SBが活躍するサッカーのほうが勝ちやすい」――とは、何人もの評論家、指導者から直(じか)に聞かされた言葉だ、欧州において。監督は、SBをいかにして活躍させるかに、まず頭をひねろうとする、と。

 6月にロシアW杯に挑むハリルジャパン。SBは、左が長友佑都(ガラタサライ/トルコ)、右が酒井宏樹(マルセイユ/フランス)という両者がスタメンを務める。

 活躍がコンスタントなのは長友だ。何より、それぞれが構える平均的な高さが違う。酒井宏は後方待機が目立つ。2人のセンターバック(CB)とともに、最終ライン付近に位置することが多い。

 ハリルホジッチ監督のサッカーは、よく言えば縦に速い。前線にロングボールを蹴り込むことを辞さないサッカーだ。言い換えればラフ。ボールを失いやすいサッカーだ。

 両SBの2人がそろって高い位置を取れば、相手にとってその背後は、確かな狙いどころになる。酒井宏が引いて構える理由だと思われるが、それでは古いサッカーに陥る。SBの活躍が期待できないサッカーになる。

 事実、日本の右サイドからの攻撃は、チャンスメークという点で左に比べて数段劣っている。言い換えれば、相手に前に出てこられやすい(プレスのかかりにくい)状況を作り出している。

 機を見て攻撃に参加する、いわば遊軍と言われてきたSBだが、その域にとどめておくとサッカーの質は上がらない。望まれるのは、右SBも前に出ていきやすいサッカーであり、コンスタントに攻撃に絡むサッカーだ。

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