ジュビロで覚醒して帰還。ハリルよ、サンフレッチェ川辺駿を見よ! (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 しかし、広島のボランチには青山敏弘、森﨑和幸という不動の存在が君臨し、翌年もチャンスはほとんど与えられなかった。そこで川辺は2015年、自身の能力を高く評価してくれていた名波浩監督率いる磐田に武者修行の場を求めることになる。

 この移籍が川辺にとってのターニングポイントとなったのは間違いない。当時J2だった磐田では、移籍1年目から33試合に出場し、J1昇格に貢献。レンタル期間を延長した2年目はチームの中心選手としての存在感を放つまでになった。

 元来、高い技術を備えていた川辺が磐田でブレイクできたのは、考える力を身につけたことだろう。どこでボールを受けるか。今、何をすべきか――。現役時代から頭脳的な選手として知られていた名波監督のもとで、判断力や戦術眼を身につけた。うまいだけではない、言い換えれば効果的な選手に川辺は成長を遂げたのだ。

 一方で、課題の守備力も向上した。果敢にプレスを仕掛けてボールを奪い、ショートカウンターから一気に前線に飛び出すプレーも川辺の真骨頂だ。

 さらにレンタル期間を継続した昨季は、横浜F・マリノスからやってきた中村俊輔との出会いも大きかった。「日本で一番うまい選手」と憧れる稀代のレフティから、プレーだけではなく、一流選手としてのあり方も学んだ。

「日本を代表する選手が加入してきて、そういう選手を普段の生活から見ることができたことが自分の成長につながっていると思います」と、その存在の大きさを語る。32試合に出場し、4得点・5アシスト。昨季6位と躍進を遂げた磐田において、川辺は間違いなく不可欠な存在となっていた。

 名波、中村という日本サッカー史に名を残すふたりのレジェンドに影響を受けた川辺だが、今季、広島への復帰を決断する。

「J1で活躍できるという自信を確信に変えて帰ってきました。広島のクオリティの高い選手たちと主導権を握ってボールを動かす広島らしいプレーをして、結果を出したいと強く思っています」

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