今季Jのイチオシ。セレッソの水沼宏太は「チームに勝利を呼び込む男」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Jun Tsukida/AFLO SPORT

 また、ユース時代までストライカーだったこともあるのだろうか、逆サイドで崩しに入ったとき、ファーポストへパスを呼び込む能力は出色。そして、サイドを上下運動できる心肺能力と献身的なタフネスも持っている。

 しかし最大の武器は、ピンポイントで放つ高精度のクロスだろう。キックの種類も多彩。日本代表に選ばれたFW杉本健勇のゴールを数多く演出している。

 昨季の第23節、アウェーのジュビロ磐田戦で見せたクロスはシーズンのハイライトのひとつだろう。右サイドでボールを受けると、ワンタッチでセットポジションに入る。ニアサイドに落とし込むような速く強いライナーのクロスを打ち込むと、これを走り込んだ杉本が合わせ、ファーに流し込んでいる。

 水沼はこうした活躍によって今季、セレッソへの完全移籍を果たしている。

 心新たに、W杯イヤーに挑む。日本代表経験はないものの、候補に入るだけの活躍は示してきた。あとはプレースタイルとの適合か。もし杉本をロシアに連れて行くなら、セットでの起用はひとつの選択肢になるかもしれない。

 いずれにせよ、水沼がJリーグで「最高のチームプレーヤー」のひとりであることは間違いないだろう。一番厳しい場面で、チームを支えられる。

「単なるパス練習でも、一つひとつ集中してやる。それが試合に必ず出てくる。だから、こだわってやります!」

 いつも快活な水沼の言葉である。

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