フロンターレの今季初陣は消化不良に。
気になるのは中村憲剛の状態

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

 継続、融合、リベンジ――。

 川崎フロンターレはセレッソ大阪と対戦したFUJI XEROX SUPER CUPに、3つのテーマを抱えて臨んでいたはずだ。

前半だけでピッチを退くことになった中村憲剛前半だけでピッチを退くことになった中村憲剛 ひとつ目のテーマである「継続」は、言うまでもなく、昨季リーグ戦を制したサッカーを今シーズンに持ち込めるかどうか。昨季の優勝メンバーがほとんどチームにとどまり、監督も代わっていない以上、この主題は決して難しくないミッションだと考えられた。

 この日の川崎Fのスタメンに新戦力の顔ぶれはなかった。2年ぶりに復帰したFW大久保嘉人がベンチに座った一方、昨季のレギュラークラスで不在だったのは、ケガを抱えるDFエウシーニョとコンディションを考慮されベンチスタートとなったMF大島僚太のみ。代わって出場したDF田坂祐介、MF森谷賢太郎も昨季からの主力であることを考えれば、川崎Fのスタイルが崩れることはないはずだった。

 しかし、立ち上がりからC大阪に押し込まれる時間が続く。持ち前のパスワークは沈黙し、逆に相手の素早いパス回しに守備陣が後手を踏む展開に。そして26分、左サイドを崩されてMF山口蛍に豪快な一撃を叩き込まれてしまった。

 リーグ最多の71ゴールを奪い、初優勝を成し遂げた昨季の川崎Fだが、悲願成就の要因はその攻撃力よりも、安定した守備組織を手にしたことのほうが大きい。鬼木達監督が求めたハードワークの徹底こそが、リーグ3位の32失点という成果を生み出していた。

 しかし、この日はC大阪攻撃陣の"巧さ"に手を焼き、なかなかボールを奪えない。奪ってもすぐさま奪い返されて、ピンチを招く場面も少なくなかった。

「まずは全員の戻る意識というか、粘り強さのところ。そこはキャンプから多少気にはなっていましたが、やはり質の高いチームとやるとそういうところがはっきり出てしまった」

 鬼木監督が指摘したように、川崎Fの守備には単純に力強さが欠けていた。

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