王者フロンターレに、元エース・大久保嘉人の再加入は「正解」なのか (3ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 報知新聞/アフロ●撮影 photo by The Hochi Shimbun./AFLO

 興味深かったのは、東京Vも、浦和も4-3-3を採用していたこと。川崎は4-2-3-1だから、中盤は相手が「アンカー+インサイドハーフふたり」なのに対して、こちらは「ボランチふたり+トップ下」で、3対3の数的同数になる。しかし、大久保が頻繁にビルドアップをヘルプすることで、4対3の数的優位となり、東京V戦や浦和戦の2本目は面白いようにボールが回った。

「やっぱり、嘉人はその辺りの感覚がいいよね」

 そう語るのは、大久保の復帰を誰よりも望んでいた中村である。

「どうすればボールが回るのか、どこにいればパスを受けられるのか、嘉人は言われなくてもわかっている。阿部ちゃんが下がってくれば、嘉人が前線に行けばいいし、嘉人は本当になんでもできる。頼もしい選手が戻ってきてくれた」

 かつて、その野性味あふれるプレーと得点力に悩まされたライバルクラブたちは今シーズン、大久保の臨機応変なプレーに苦しめられるに違いない。

 あえて懸念材料を挙げるなら、この2試合で大久保と家長昭博の共演が見られなかったことだろう。東京V戦はコンディションが万全ではなかった家長が出場を見合わせ、浦和戦は家長と入れ替わって大久保がピッチに入った。

 大久保と家長が2列目で並んだ紅白戦では、互いのプレーエリアや攻撃のイマジネーションを理解していないのか、遠慮し合うシーンがあったという。

 もっとも、その問題は2月10日の富士ゼロックススーパーカップも含め、実戦をこなしていくことで解決できるものだろう。

 あるいは、過密日程の前半戦は、大久保と家長をターンオーバーさせながら戦っていってもいい。大久保と家長が入れ替わるだけで、川崎は異なる強みを備える2チームを構成できるようになる。

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