王者フロンターレに、元エース・大久保嘉人の再加入は「正解」なのか

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 報知新聞/アフロ●撮影 photo by The Hochi Shimbun./AFLO

 ピッチの上には、3年連続得点王になった頃のような、ゴールに貪欲なストライカーの姿はなかった。

 そこにいたのは、パスで味方同士をつなぐ"潤滑油"のような気の利くMFだった。

 得点力が衰えたわけでも、チームにフィットしていないわけでもない。

 それは、大久保嘉人が自ら望んだ変貌だった。

「フロンターレのやり方は忘れてないよ。けど、役割が変わった。今は俺が下がって攻撃の組み立てに加わっている。自分がパスを出して、スペースを空けて、そういうのを意識的にやりましたね」

 FC東京でのプレーを経て、大久保が2年ぶりに川崎フロンターレに復帰した。

フロンターレに戻ってきた大久保嘉人フロンターレに戻ってきた大久保嘉人

 元エースが再加入して、チームはどのように変わるのか――。

 それが、J1王者の新シーズンにおける最大の焦点なのは確かだろう。

 1月31日の東京ヴェルディとの練習試合では、大久保は4-2-3-1の左サイドハーフとして先発した。2月3日の浦和レッズとの練習試合では、45分×3本の2本目から登場し、やはり4-2-3-1の左サイドハーフに入った。

 2年前まで大久保の"指定席"だった1トップの座には、昨シーズンの得点王にしてJリーグMVPに輝いた小林悠が収まっている。

 だからといって、大久保に不満はない。大久保が2列目でもプレーできるのは、以前の在籍時だけでなく、ヴィッセル神戸時代やFC東京時代、そして日本代表でも証明されている。大久保自身も「俺は前だったらどこでもできますからね」と自信をのぞかせた。

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