髙田明社長に聞く、V・ファーレン長崎のピンチを救った「経営哲学」 (3ページ目)

  • 刈部謙一●文 text by Karube Kenichi 山頭範之●撮影 photo by Ymagashira Noriyuki

「社長就任以前にも高木監督と話すことはありました。人間的に大好きですから、サッカーのことを話すよりも、人生のことを語っていましたね。ですから、高木監督のV・ファーレン長崎への思いや情熱はよく理解できていました。さらに、長崎の夢を潰しちゃいけない。県民のみなさんや子供たち、携わるすべての人の夢も潰しちゃいけないと思いました。ですから、引き受けるにあたっては監督の存在も非常に重要な要素のひとつでした」

――「長崎の夢を潰しちゃいけない」と言われましたが、県民全体の夢としてやっていこうというものだから、赤字があろうとも、自分ができることをやろうということだったんでしょうか?

「私はジャパネットでも100年企業ということを理念として掲げていました。30年頑張っても、31年目でダメになれば、その夢は潰(つい)えてしまうし、社会貢献もできないと考えています。ですから、いかに企業を継続することに意義があるかということを経営者として発言してきました。V・ファーレン長崎も、今まで頑張ってきたのに潰えてしまったら、何で今までつらい思いをしてきたのだろうと考えたのです。

 プロスポーツチームは、どの地方にでも存在するものではないですし、存在すること自体がすごく価値があることです。特に子供たちがスポーツを見たら、たとえ今の生活の中で何か問題があっても、気持ちを切り替えていけるパワーになる。スポーツの果たす役割はすごく大きい。子供たちの気持ちを人間らしくさせ、その中で競争、葛藤、喜怒哀楽をスポーツを通して体験できるのは、崇高なことだと思います」

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