たとえ裏切り者と言われても...。齋藤学がライバル川崎Fに移籍した理由 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO

 今回の件は、「温情」と「ビジネス」という相容れない要素が根っこにある。一昨年、齋藤は海外移籍を視野に入れるも契約がまとまらず、出戻りの形になった。再び海外移籍を見据えての単年契約。これは交渉の問題で、齋藤本人の罪ではない。

 しかし1年間プレーし、思いのほかクラブから自身への評価は低く、他の選手への査定や強化方針にも不信感が募った。一方で、熱心な誘いで納得のいく評価をくれたJ王者があった。そして、移籍を決断した。

 プロとしては当然の決定であるが、愛されていただけに憎しみも深かった。他の選手なら、「裏切り者」とまで責められはしない。彼のプレーはそれほど人の心を動かしてきたのだろう。

「プレーヤーとしてピッチで喜びを伝えたいですね。僕のことを知らなくても、サッカーを知らなくても、サッカーってこんな面白いんだって。幸せな気持ちになって、またスタジアムに来てもらえるように」

 それが齋藤のプロサッカー選手としての境地である。2018年シーズン、齋藤は川崎フロンターレのユニフォームを着る。

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