アントラーズ復帰の内田篤人が言う
「日本に戻るのは俺が最初」の意味

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Takashi Aoyama/Getty Images

 鹿島は名実ともにJリーグのトップクラブであり、小笠原というチームを引き締める存在もいる。それでもなお、まだ仲良し集団に見えるところがある。内田は練習後の取材エリアで「ドイツでは練習が始まればあんまり喋らないというか、集中するというか......」と説明する。

 別に内田は排他的でも、過度に競争を好むタイプでもなく、いたってフレンドリーな人間だ。そんな内田がいかに勝負の厳しさをこのような細部からチームに落とし込むことができるか。それもひとつの役割になるかもしれない。

 日本に帰国した直後、内田は「あの頃(2010年ごろ)ヨーロッパに行った選手の中で、日本に戻るのは俺が最初だよね?」と、ボソッと言ったことがある。もちろん、もっと短期間の在籍で日本に帰国する選手も多くいたが、チャンピオンズリーグに出場するクラスのチームで活躍をした香川真司、岡崎慎司、長友佑都、本田圭佑らの中でいえば、確かに最初のJ復帰選手だろう。

 そこには忸怩(じくじ)たる思いが込められているのか、ただ事実を確認しているだけなのか、わからない。ただし、約3年間ほとんどプレーしておらず、その末の帰国。容易ならざる思いがあってもおかしくない。内田を見続けている人間としては一抹の寂しさは感じるが、本人の中では自分には何ができるか、日本で何を示していけるのかというある種のチャレンジでもあるのだろう。

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