頂上決戦。高校生なのに「大人びた」サッカーの流経大柏はミスがない (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 切り替えのスピードが遅かったのは、連戦による疲労もあったかもしれない。だが、それ以上に失点を与えたくないというリスクマネジメントの意識の強さが、彼らの動きを制御してしまったように思えた。

 攻撃の軸を担う10番のMF菊地泰智(きくち・たいち/3年)も「昨日(準々決勝の長崎総合科学大附戦)は前の4枚で連動して走れたので得点が獲れたんですが、今日は全員が動いて、スペースを作って、走るという作業ができていなかった」と、課題を口にした。走るという大前提が機能しなければ、苦戦は免れない。冒頭の本田監督の厳しい言葉は、そうした彼らの意識に向けられたものだろう。

 もっともそうした苦しい展開のなかでも、結果を出すのが強いチームの証(あかし)でもある。64分、左サイドからのクロスを途中出場のMF加藤蓮(かとう・れん/3年)がダイレクトボレーで合わせて先制に成功する。本田監督いわく「もう一回やってみろと言っても絶対できないようなシュート」が流経大柏の窮地を救った。

 終盤は追いかける矢板中央の攻勢にさらされたものの、センターバックのDF関川郁万(せきがわ・いくま/2年)を中心に身体を張った守備で応戦。虎の子の1点を守り抜き、決勝へと駒を進めた。

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