6-1圧勝でも沈痛ムード。前橋育英、悲願の日本一に向け完璧を期す (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 当然、前橋育英にも連戦の疲労はあるだろう。だが、攻守の切り替え、そして球際での争いにおいて、プレー強度はまったく落ちることがない。田部井涼が「今大会のなかでも(切り替えが)速くなっている。1年間の努力の結果が出ているんだと思う」と、自賛するほどだ。

 過去の選手権を振り返れば、単純な攻撃力や選手個々の技術だけなら、もっとレベルの高いチームはあったが、これだけ攻守の切り替えで相手を圧倒し続け、手も足も出させないチームは、今大会はもちろん、過去を含めてもあまり記憶がない。

攻守の切り替えの速さが際立つ前橋育英が上田西を下して決勝へ攻守の切り替えの速さが際立つ前橋育英が上田西を下して決勝へ 前橋育英が決勝で対戦するのは、流通経済大柏(千葉県)。

 これが今年度では4度目の対戦となり、プリンスリーグ関東では前橋育英が2勝しているが、全国高校総体では準決勝で対戦し、勝った流経柏がそのまま頂点に立っている。田部井涼が「(2勝したことよりも)1敗のほうが(印象に)残っている。(総体優勝の)日本一を逃した悔しさのほうが大きい」と語るように、ここ一番での勝負強さでは、流経柏が上だと言えるのかもしれない。

 だが、両者がともに勝利し、決勝へのキップを手にした準決勝の戦いぶりだけで比較すれば、単にスコアだけでなく内容的に見ても、両者の間にはかなり大きな差があった。攻守の切り替えや球際の争いで、はるかに強度の高いプレーをやり続けていたのは、前橋育英のほうだった。1失点したとはいえ、上田西のシュートはわずか1本、CKはゼロという数字が、その事実を物語っている。

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