前橋育英、前回大会のリベンジへ
「5原則」徹底。初Vへ風は吹いている

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 どれも当たり前のことではあるが、こうして改めて掲げることで、選手全員の意識に浸透していったのだろう。

 なかでも、攻守の切り替えの速さと球際の争いでの強さは、今大会で際立っている。技術に優れた選手がそろっていながら、前橋育英からは脇の甘さが感じられず、「戦えるチーム」という印象を受けるのは、そこに大きな要因がある。

 ともすれば、ボールを保持したときの高い攻撃力に目が奪われがちだが、一度失っても、すぐに奪い返すことができているからこそ、高い攻撃力は威力を増す。田部井涼は、5原則徹底の出発点を「(前回大会決勝の)青森山田戦がすべて」と語り、こう続ける。

「そこで痛いほど学んだ。切り替えや球際の差がデカいと痛感した。同じ過ちを繰り返したくなかったので、練習から最大の出力、強度で、切り替えや球際をやってきた」

 優勝候補の前評判にふさわしい勝ち上がりでベスト8に進出した前橋育英が、1月5日の準々決勝で対戦するのは、米子北(鳥取県)。小柄な選手が多く、決して技術や身体能力に抜きん出ているチームではないが、「本当によく走れるし、ガッツがある。疲れを知らない運動量がある」と、山田監督も警戒を強める相手だ。ユース年代の最高峰、プレミアリーグWESTで今季7位となった強敵は、初の選手権ベスト8進出に意気上がっている。

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