前橋育英、前回大会のリベンジへ「5原則」徹底。初Vへ風は吹いている (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 だが、前橋育英の山田耕介監督が「PK戦の準備をしていた。蹴る順番も決めていた」という後半ロスタイムの83分(40分ハーフ)、飯島が値千金のゴールを決め、前橋育英が粘る富山第一を振り切った。田部井涼が安堵の表情で語る。

「シュートを外しても、次、次と切り替えて、焦(じ)れずにやり続けられた。その意識が結果につながった。(得点が入らなくても)焦れないことは、全員で共有できていた」

 まったく異なる展開の2試合を勝利した前橋育英だったが、いずれの試合にも共通して目立つのは、攻守の切り替えの速さである。

 富山第一戦では、堅守速攻を狙う相手に対し、ボールを失ったあとの守備への切り替えが少しでも遅れれば、強力2トップを擁する富山第一のカウンターの餌食になりかねなかった。しかし、前橋育英は集中力を切らすことなく、すぐさま守備へと切り替え、相手ボールへ激しく襲いかかった。

 山田監督が「今年はそればかりやってきた」と語る素早い攻守の切り替えは、前橋育英の強力な武器となっているのは間違いない。

 前橋育英は今年度のチームを立ち上げるにあたり、徹底すべき「5つの原則」を掲げ、全員で常に共有してきたという。

 5つの原則とは、(1)攻守の切り替え(2)球際(3)ハードワーク(4)声(5)ファーストとセカンド(ファーストボールを競り合い、セカンドボールを拾うこと)。

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