名波監督が明かす「ジュビロ磐田が13位から6位に躍進した舞台裏」 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・構成 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 それと、これは余談ですけど、(期限付き移籍で3年在籍していた)川辺駿の存在。彼の成長を感じることもできました。実はあの試合の時点で、(川辺は)今季からサンフレッチェ広島に復帰することが決まっていたんですね。それで、メンバー外の選手たちとハイタッチしているときから駿は泣いていて、山田(大記)からは『おまえ、なんで試合前に泣くんだよ』って突っ込まれていたんですけど、(ジュビロでの)最後の試合でよくやってくれました。

 彼は、僕らクラブにとっては息子みたいなもの。だからといって、ただかわいがってきたわけではなく、時にはライオンの親子で言う、崖から落として(指導して)きたことが何度もありました。最終戦の3週間前くらいにも、練習に身が入っていなかったので、『おまえ、(練習から)抜けろ!』と言って、ひとりで練習場の外を走らせていましたから。いずれ、日本代表や欧州のクラブでプレーすることを目指していくならば、と本当に厳しく育ててきました。

 また、昨季は俊輔が加入して、代表レベルの選手はこういうものなんだ、ということも肌で感じられたはず。なにしろ、40歳近い選手が果敢にスライディングして、体を張っている姿を目の前で見ているわけですからね、『自分もやらなければいけない』という気持ちにもなっただろうし、さらなる向上心が芽生えたんじゃないでしょうか」

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