加地亮が28歳で日本代表を引退した真相。「自分が壊れてしまうと...」 (6ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by Koji Watanabe/Getty Images

 また、彼自身が常に欲してきた「うまくなりたい」という欲にも衰えはなく、練習後にもほぼ毎日、スポーツジムに赴(おもむ)いてパーソナルトレーナーとのプラスアルファのトレーニングを続けた。

 そうして最後の最後まで全身全霊をサッカーに捧げ、走り抜いた20年。その時間を振り返り、「微塵も後悔はない」と加地は言い切る。

「プロになったときは、せいぜいやれて10年と思っていました。FC東京時代に少し自分に光が見え始めたときでさえ、30歳までやれたら十分だな、と。それが、結果的に20年ですから。しかも、最後の最後までチームメイトと切磋琢磨しながらサッカーができて、悔いなく戦い切ることができて、本当に幸せでした。

 僕に関わってくれた人たち、常に僕に生活を合わせて支えてくれた家族に、心から感謝しています。サッカー......最高です!」

 そう言って笑った表情は、その胸の内を示すかのように一点の曇りもなく、これまでのキャリアで幾度となく目の当たりにしてきた輝きに満ちていた。

加地亮(かじ・あきら)
1980年1月13日生まれ。兵庫県出身。2006年ドイツW杯に出場するなど、日本代表でも活躍したサイドバック。滝川第二高校→セレッソ大阪→大分トリニータ→FC東京→ガンバ大阪→チーヴァスUSA(アメリカ)→ファジアーノ岡山

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