セレッソ大阪にも「二刀流」。
山村和也がマルチに働き、元日の大舞台へ

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO SPORT

 とはいえ、それだけならあえて特筆する必要もないだろう。山村が"異能ぶり"を見せたのは、そのあとだ。

 延長前半98分、セレッソは柿谷のゴールでリードを奪うと、フォーメーションをそれまでの4-4-2から3-6-1(実質、5-4-1と言ってもいいだろう)へ変更。守備を固めて逃げ切ったのだが、このとき、3バックの右DFに入ったのが、山村である。

 負けている試合の終盤に、ヘディングに強いDFが前線でパワープレーのターゲットとなるべく、FWに入る例は多いが、その逆となると非常に珍しい。山村の働きは、まさに"二刀流"と呼ぶにふさわしいものだ。

 もとをただせば、山村はボランチやセンターバックを本職としてきた選手である。流通経済大から鹿島アントラーズに入り、昨季セレッソへ移籍。U-23日本代表として、ロンドン五輪にも出場している。

 ところが、セレッソ2年目の今季、新たに就任した尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督の慧眼(けいがん)により、トップ下やFWで抜擢されるや、マルチロールの才能を開花。セレッソがJ1復帰1年目にして、3位に躍進する大きな原動力となった。

 FWやトップ下として先発した山村が、最後はDFラインに入って逃げ切る。そんな一般的には風変りな起用法も、今季のセレッソでは、もはやお馴染み。いわば、セレッソの勝ちパターンであり、「勝利の方程式」と言ってもいいのだろう。

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