サガン鳥栖の豊田陽平が移籍説を否定。でも「キャプテンはやらない」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

「ふて腐れたりするタイプではないので、監督にとっては扱いやすい選手かもしれないですね。そうやって、自分の立場を守る選手もいますから」

 豊田はそう言って笑う。

「今シーズンはキャプテンになったことで、"チームのために"が強くなりすぎたのはありますね。自分が点を獲らなくても、他の選手が獲って勝つならそれでもいい、というか。それでゴールの執着が薄まったのかもしれない。フォア・ザ・チームというのが強すぎて、ふてぶてしくエゴが出せない、そのジレンマはありました。FWがキャプテンをするのは難しいですね」

 そう振り返って険しい表情を浮かべた豊田は、もうキャプテンを引き受けるつもりはないという。ゴールゲッターとして仕留める、という部分に再び向き合うつもりだ。

「自分は"(ゴールを)仕留める"というのが真骨頂。そのためのボールをチームメイトに託してもらうようになる必要があります。実は昨シーズンの終わりから、来るべきボールが来ないな、という感覚が少しあって。そこをもう一度、信頼されるように、ブレずに突き詰めていくしかないと思っています」

 豊田は現状について冷静に語っている。地元では英雄視されるが、本人はいたって謙虚。むしろ犠牲精神が強すぎるのだ。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る