まんまとハメられた浦和レッズ。戦術家の策に敗れ、レアル戦は夢に... (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Tom Dulat - FIFA/FIFA via Getty Images

 浦和の敗戦は、自らの拙攻によるものではあるが、言い換えれば、アルジャジーラの術中にハマった結果と言ってもいい。

 アルジャジーラのヘンク・テンカテ監督は試合後、記者会見場に現れるなり、「Best ever!(今までで最高)」と一言。バルセロナのアシスタントコーチや、アヤックスの監督を務めた経験を持つオランダ人指揮官は、「浦和はよくオーガナイズされ、うまくボールを動かすことができるいいチームだ」と、まずは相手チームを称えたうえで、こう語った。

「UAEリーグでは、我々も今日の浦和と同じ問題に直面する。すなわち、ボールを保持していてもアンラッキーな形でゴールを譲ってしまうということだ。そうなると、ゴールして追いつくのはもっと難しくなってしまう」

 アルジャジーラも、国内リーグでは自らがボールを保持して試合を進めるチームである。だが、相手の特長や互いの力関係を考えたとき、何が最善策なのか。

 浦和は粘り強い守備を武器に、ACLを勝ち抜いてきた。その一方で、J1に目を向ければ、ある程度パスはつながるものの、効果的な攻撃ができずに敗れる試合が続いていた。浦和の"表"が出たのがACLだとするなら、"裏"が出たのがJ1。ならば、ここでも裏を出させる試合に持ち込めばいい。堅守からのカウンター狙いに徹することは、戦術家として知られる知将らしい選択だった。テンカテ監督が続ける。

「浦和の弱点を話すことはできないが、我々の強みを挙げるなら、優れたストライカーを擁していること。相手選手は常に注意を払わなければいけない。だが、高い質とスピードを備えている彼らは、"その瞬間"を見つけることができた」

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