中村憲剛から小林悠へ。抱き合う新旧キャプテンだけが知る大切なもの (5ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 キャプテンの小林だけでなく、チームとしても苦しんでいた時期を抜けると、谷口がチームを鼓舞し、大島も声を出してバランスを計るなど、各々に自覚が芽生え、成長していた。その小林も、キッカケとなったインタビューが掲載された6月28日以降、3試合で5ゴールと得点を重ね、最終的にはキャリアハイの23得点で得点王になり、チームはJ1初優勝を成し遂げた。

 1年間、左腕にキャプテンマークを巻き、その重みを痛感したからこそ、小林は中村への思いをこう言葉にした。

「僕らはいいときのフロンターレを知っているので、前半戦にうまくいかなかったときには、ふたりでお風呂に入りながら、どうしたらもっとチームがよくなるかを相談してきた。やっぱり、僕にとって一番の相談役は憲剛さんですし、一番、憲剛さんの気持ちがわかるのも自分だと思っていたので、そういう試行錯誤をして、この優勝があると思う。

 僕も背負ってきたものはありますけど、フロンターレには、憲剛さんにしかわからないところもあるとは思いますし、そういう......何て言うんだろうな、フロンターレらしさって言うんですかね。選手のなかにそれを広めていくことも難しさがあったと思いますし、本当に憲剛さんがいたから、成し遂げられた優勝だったと思います」

 川崎FのJ1初優勝が決まったとき、ふたりが抱き合い、「ありがとう」と交わした言葉には、彼らにしかわからない幾つもの思いが込められていた。

◆小林悠が苦しみから抜けるキッカケになった本誌インタビュー前編

◆小林悠が苦しみから抜けるキッカケになった本誌インタビュー後編

◆強いチームから勝てるチームへ。フロンターレ「黄金時代」への第一歩

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