今度こそマジで「万年2位」返上へ。
川崎Fの逆転V確率は意外と高い

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 川崎フロンターレの鬼木達監督は勝ち点3を得られたことに、心底安堵しているようだった。

「勝利という結果を出せたことが一番」

 J1第33節、優勝の可能性を残す2位の川崎は、敵地で浦和レッズを1-0で下した。引き分けでも鹿島アントラーズの優勝が決まってしまう状況下での、初優勝へ望みをつなぐ勝利である。

奇跡へつなぐ虎の子の1点を決めた小林悠奇跡へつなぐ虎の子の1点を決めた小林悠 この日の埼玉スタジアムに集まった観衆は、2万4605人。4日前に同じ会場で行なわれたAFCチャンピオンズリーグ決勝からは、半分以下に減っていた。10年ぶりにアジアを制した浦和も、その一方でJ1では7位以下が確定している。やむを得ないこととはいえ、スタジアムの熱気は比べようもなかった。

 この試合、浦和は10年に一度の大仕事を成し遂げた直後とあって、主力を温存。DF槙野智章、MF柏木陽介、FW興梠慎三らが先発を外れた。今週末の最終節のあとには、8日間で最大3試合を戦うクラブW杯が待っていることを考えれば、当然の策でもあった。

 しかし、"飛車角落ち"の浦和にさえも、川崎は苦しんだ。鬼木監督が「目に見えないプレッシャーがあったのかな」と振り返ったように、選手たちはボールを保持して攻め込むものの、決定機はおろか、シュートまで持ち込むことすらままならなかった。

 得点は前半14分、右サイドを突破したMF家長昭博のクロスを、FW小林悠がワンタッチで合わせた1点のみ。後半に入ると浦和に押し込まれる時間が長くなり、防戦を強いられた。川崎のシュート数は7本。コーナーキックにいたってはわずかに1本。攻撃の機能不全は、数字にも表れていた。

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