我々がいるべき場所はJ1。変幻グランパスは堅守アビスパを崩せるか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Matt Roberts - JL/Getty Images for DAZN

 また、名古屋は攻撃でもショートパス主体のつなぎにこだわらず、シンプルに最前線のシモビッチへと長いボールを入れる策を選んだ。千葉の武器であるハイプレスを回避するためだ。佐藤寿は当然のように言う。

「相手にとって何が嫌か。つなぐことが目的ではないし、絶対につながなければいけないわけではないから」

 千葉のプレッシングを避けるように、シモビッチへと送られるロングパス。本来の名古屋らしい攻め方ではなかったかもしれないが、その効果は絶大だった。佐藤寿の双子の実兄でもある、千葉のMF佐藤勇人が厳しい表情で振り返る。

「シンプルに(前線へボールを)入れてくるのはわかっていても、(シモビッチは)高さがあって、足もと(の技術)もある。(シモビッチのポストプレーから)技術のある選手に前向きにボールを受けられてしまうと、前回(3-0で勝った試合)みたいにボールを奪ってショートカウンターというのは、簡単ではなかった」

 試合は、名古屋の狙いどおりに進んだ。だからこそ、前半終了間際という嫌な時間に先制点を許しても、「今までにないくらい、前半からよく声が出ていた。ハーフタイムのチームの雰囲気もよかった」と、佐藤寿は振り返る。

 前半の戦いぶりを「試合の入りもよかったし、選手は落ち着いていた」と振り返った風間八宏監督もまた、選手たちに「後半45分でしっかり勝とう」と伝え、自信を持って送り出した。その結果が、大量4ゴールでの逆転勝ちである。

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