アビスパの意識に引き分けなし。
J1かけたグランパス戦で奏功するか

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

 そこには、追いつかれても勝ち上がれるという意識もあったはずだ。先述した点と矛盾するようだが、1点をリードしたことで余裕が生まれ、さらなる積極性が促されたということだろう。

「彼らは先にゴールを決めたことで、より自信を持ってディフェンスをしていたと思います」と、東京Vのミゲル・アンヘル・ロティーナ監督も福岡の守備力に脱帽するほかなかった。

 終盤に入ると「割り切って少し守ったところもある」と井原監督が明かしたように、後方に人数を割き、逃げ切り策に移行。その分、押し込まれる時間も増えたが、そこにも「1点獲られても大丈夫」という余裕が感じられた。なんとか耐えしのいだギリギリの勝利ではない。「引き分け=勝利」という状況をプレッシャーと感じるのではなく、その優位性を見事に生かし切った、福岡の快勝と言えるゲームだった。

 1年でのJ1復帰に向けて決勝までたどり着いた福岡だが、準決勝のもう1試合で3位の名古屋グランパスが6位の千葉を下して勝ち上がったことで、福岡は決勝を下位チームの立場で迎えることになる。

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