ジェフ千葉、敗北の中で膨らむ期待。来季のJ1昇格がハッキリ見えた (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Matt Roberts - JL/Getty Images for DAZN

 その後、PKで1点ずつを取り合った試合は、終わってみれば2-4。千葉の完敗だった。佐藤勇が語る。

「6位の自分たちより3位の名古屋のほうが、力があったということ。シーズンを通してしっかりした戦いができないと、こういう戦いを勝ち抜くのは簡単ではない。連勝してきて勢いはあったが、勢いだけでは勝ち抜けない」

J1昇格プレーオフ準決勝で惜しくも敗れたジェフ千葉J1昇格プレーオフ準決勝で惜しくも敗れたジェフ千葉 とはいえ、千葉は決して勢いだけでここまでたどり着いたわけではない。ラリベイが「プレーオフ進出に値する力は見せられたと思う」と振り返ったように、千葉はこの試合でも、敗れたとはいえ、随所に"らしさ"を披露した。

 背後に広大なスペースを生み出す危険を覚悟のうえで、DFラインを高く上げ、前線からのプレッシングに打って出る。そんなJリーグ屈指の果敢な戦術は、昨季J2でクラブ史上最低の11位に終わった千葉が、なぜ今季これほど躍進できたかを、その威力によって伝えていた。4点を奪って勝利した名古屋にしても、襲い来るプレッシングの波から完全に逃れられたわけではなかった。

 佐藤勇が「今季は、今までと(サッカーの)スタイルをガラリと変えたが、どんなチームでも自分たちのスタイルを築こうとするときには時間がかかるもの」だと話したように、エスナイデル監督のもと、新戦術に取り組んだ千葉は今季、思うような結果を出せない時期を長く過ごした。

 ものの見事にプレッシングがハマることがある一方で、易々と背後を取られ失点を重ねることも少なくない。そんな危ういサッカーでは、安定した成績を残せないのも無理はなかった。事実、千葉が今季喫した14敗のうち、11敗は複数失点によるものだ。

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