ジェフ千葉、敗北の中で膨らむ期待。来季のJ1昇格がハッキリ見えた

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Matt Roberts - JL/Getty Images for DAZN

「勢い」や「流れ」というのは、目には見えない漠然としたものではあるが、勝負においては見逃せない要素である。いかに勢いや流れを生み出し、つかみ、手放さないか。ときにそれが、勝敗を左右すると言ってもいい。

 今季J2において、どこよりも勢いづいてJ1昇格プレーオフに乗り込んできたのは、ジェフユナイテッド千葉で間違いないだろう。

 千葉はシーズンを通じて勝ったり、負けたりを繰り返し、なかなか上位争いに加われずにいたが、シーズン最後を7連勝でフィニッシュ。驚異の追い込みでプレーオフ進出を勝ち取った。

 加えてリーグ最終戦は、試合終了間際のゴールで勝ち越す劇的な幕切れ。これで勢いに乗らないはずがない。辛うじて手にしたプレーオフ進出ではあったが、たった1枚の昇格キップを争う他の3クラブにとっては、厄介な存在だったに違いない。

 しかも、プレーオフ準決勝で対戦する名古屋グランパスとは、リーグ戦で2戦2勝(2戦合計のスコアは5-0)と相性がいいことも好材料だった。高い位置からのプレスを武器とする千葉にとって、ショートパスを主体に攻撃を組み立てる名古屋は絶好の"カモ"。リーグ戦の順位では名古屋の3位に対し、千葉は6位だったが、番狂わせが起きる可能性は十分にあった。

 実際、試合はリーグ戦の勢いそのままに、千葉が先制点を奪った。MF為田大貴が送ったグラウンダーの高速クロスが、ゴール前で相手DFとポジション争いをしていたFWラリベイの左足に当たって入った幸運な得点は、衰え知らずの勢いを象徴するものであるかに思われた。

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