理想のミシャ&現実の堀。浦和レッズのアジア制覇は指揮官2人の合作 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 後方での守備を選択し、相手にいいようにボールを回された第1戦とは異なり、高い位置からプレスをかけることで、そのパスワークの精度を狂わせた。立ち上がりに二度、長澤が相手の最終ライン手前でボールを奪いフィニッシュに持ち込んだシーンがあったように、決して質が高かったとは言えないアル・ヒラルのビルドアップに対して、そのアグレッシブな守備は有効だった。

 試合を通してのポゼッション率は36.1%対63.9%と、第1戦とさほど変わらない。それでもボールを持たれながらも危険なシーンが少なかったのは、そのボール回しを窮屈なものとしたことが大きかった。

 むしろ浦和が苦しんだのはパスではなく、ドリブルだった。両サイドハーフのサレム・アルダウサリとナワフ・アルアビドの突破、あるいは右サイドバックのモハンメド・アルブライクの果敢な仕掛けにより、浦和の守備組織はわずかに隙を見せたが、それでも集中を保ち、瀬戸際で身体を張り、致命傷を負うことはなかった。

 第1戦でアウェーゴールを奪っていたことも大きかった。0−0でも勝てる状況は、時間が経つにつれて相手の焦りを誘った。単発での攻撃が増え、点が奪えない苛立ちからラフプレーによる警告が増加。そして79分、アルダウサリが2枚目の警告を受けて退場になる。これで、勝負はほぼ決したと言っていい。

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