選手が2人になっても諦めない。ユース監督・永井秀樹のヴェルディ再建 (3ページ目)

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

 もしグアルディオラ(マンチェスター・シティ監督)がヴェルディユースの監督になって、『いいか、キミたち、今日からFWはワイドに張りなさい』と言えば、すんなり受け入れられるかもしれない。でも自分は、選手としての実績はそれなりにあっても、指導者としては1年生。正直、選手が『えっ!? ほんとに張ってもいいのかな。大丈夫かな......』となるのもわかる。

 あと、自分は『ボールの近くに最低2人はサポートにいけ』と指導している。でも、他の指導者からは『(ボールの)近くに寄るな、離れろ』と言われてきた子たちもいる。ボールの近くに人がいくと、人(相手)を連れてきてしまうから『離れろ』と。

 そういう考え方ももちろんあるかもしれないけど、ボール保持率をコンセプトに掲げるサッカーを志向するのであれば、5m以上のパスを確実に通せない育成段階の選手たちが、(中心となる)ボール保持者である味方から離れていってしまったら、どうやってボールを保持するのか。ハイプレッシャーの中でボール保持者にプレッシャーがかかると、近くにサポートする味方がいない限り、ボール保持は難しい。だから(自分は)『近くに行け』と言うけど、ずっと『(ボールの)近くに寄るな』『離れろ』と言われてきた選手は戸惑うよね。

 そうしたひとつひとつのことをとっても、選手たちは相当苦労していると思う。頭では理解していても、実際に動いたり、プレーしたりするのは非常に難しいからね。それでも、選手たちは一生懸命理解しようとして、プレーしようと努力してくれている。これまでとはまったく違う価値観のサッカーを求められているのにね。ほんと、選手たちには心から感謝している」

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