選手が2人になっても諦めない。ユース監督・永井秀樹のヴェルディ再建 (2ページ目)

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

 あるJリーグの下部組織では、ジュニアからジュニアユースに昇格させる判断の基準のひとつに、今後どの程度まで身長が伸びるか、それを知るために骨密度を測定するらしい。自分から言わせてもらえば、『それって、何の意味があるの!?』って思う。(選手を)見るべきところは、もっと他にある」

ヴェルディユースで緻密な指導を繰り返している永井秀樹監督(右)ヴェルディユースで緻密な指導を繰り返している永井秀樹監督(右) 今、永井はユース監督という立場で、未来につながる新しいヴェルディの「型」を作り始めている。そしてその「型」を作るためには、選手個々やチームの中に存在するものをすべて、一度壊してしまう必要があった。その作業はとてつもない労力を強いられるが、永井はその苦労も厭わない。

「例えば高校3年生、18歳の選手がいるとして、彼が5歳からサッカーをしていたとすれば、13年間の固定観念が染みついているわけでしょ。自分は、その彼が持つ固定観念を壊して、ある意味まったく異なるサッカー感を伝えている。だから、選手はかなり大変(笑)。

 2トップのあり方について例を挙げれば、自分は今『ワイドに張れ』と(選手に)伝えている。でも、13年間『FWはこの場所にいろ』と言われ続けてきた選手にとっては、いきなり『ワイドに張れ』なんて言われても、なかなかすぐには対応できない。純粋な心の持ち主で、柔軟性のある考え方ができる選手でない限り、染みついた固定観念に縛られたまま。

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