選手が2人になっても諦めない。ユース監督・永井秀樹のヴェルディ再建

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

永井秀樹「ヴェルディ再建」への道(6)
~激闘のプリンスリーグ関東(後編)

◆記事の「前編」から読む>>


染みついた固定観念を壊して
ある意味まったく異なるサッカー感を伝えている

 2017年9月23日、高円宮杯U-18サッカーリーグ2017・プリンスリーグ関東の第14節。首位の川崎フロンターレU-18と敵地で対戦した、永井秀樹監督率いる4位の東京ヴェルディユースは0-2で敗れた。

 しかしこの試合で、永井は負けた悔しさを上回る"発見"と学び"を得たという。年代別代表に招集されたり、負傷で戦列を離れていたり、主力選手が半分ほど不在の中で、得たものとは何だったのだろうか――。

「我々指導者が最もしてはいけないことは、選手の可能性にフタをしてしまうこと。でも実際は、指導者によって、その後の可能性の芽を摘まれてしまう選手がたくさんいる。自分もそういう選手を大勢見てきた。

 例えば今日、センターバックのスタメンで起用した山下柊飛(やました・しゅうと)は、身長160cmそこそこ。指導者によっては、『おまえにセンターバックは無理だ。その身長でどうやってやるんだ』というかもしれない。でも、今日の試合で山下は、川崎フロンターレU-18のエースであり、U-17日本代表のエースでもあるFW宮代大聖を完封し、守備に関しても、ビルドアップに関しても、ほぼ完璧な仕事をしてくれた。

 結局、『身長が低いからセンターバックは無理』というのは、偏見にすぎない。身長でサッカーをするのではなくて、どれだけいい仕事ができるかどうかで、その選手のよさを判断すべき。そのうえで、その選手が最も力を発揮できるポジションであったり、役割であったりを見極めていくことが大切になると思う。

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