アルビレックス「らしさ」を失い降格。
荒野からの再生に何をすべきか

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Masashi Hara - JL/Getty Images for DAZN

 とはいえ、客観的に戦力を見れば、いつ新潟がJ2に降格しても不思議はなかったのも事実だ。主力選手を引き抜かれ、戦力ダウンでスタートしたシーズンは、これが初めてではなかった。

 J2を制した2003年までさかのぼっても、当時の新潟は決してJ1昇格の有力候補だったわけではない。どちらかと言えば、サプライズでの昇格だった。

 にもかかわらず、開幕前には優勝候補に挙げられていたクラブがJ2に降格してしまうほど、何が起こるかわからない世界でも稀なリーグで、ここまで生き残ってきたのである。今季、ついに力尽きる結果となったが、クラブの予算規模を考えれば、14シーズンもの長きにわたってJ1を戦い続けたことは、グッドルーザーと称えられていいだろう。

 まだ夢の第一幕が終わったばかり。また第二幕を始めればいい。J2降格をきっかけに、より強くなってJ1に戻ってきた例も少なくないのだ。

 ただし、その一方で、第二幕を始めるのが、そう容易(たやす)いことではないのも確かだ。

 現在のJ2は自分たちのスタイルにこだわりを持つ、"キャラの立った"クラブが増えた。年々、リーグ全体のレベルが上がり、群雄割拠の様相を呈しているだけに、これを勝ち抜くのは簡単ではないだろう。

 中野社長は「1年でJ1に戻るということを目標に掲げ、今年の反省を踏まえてチーム作りをしたい」と語る。絶対に1年でJ1に戻るとは、J2降格が決まったクラブの誰もが口にする言葉だが、実際に成し遂げられるケースはそれほど多くない。新潟もまた、大なり小なり壁にぶつかるはずだ。

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