アルビレックス「らしさ」を失い降格。荒野からの再生に何をすべきか (5ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Masashi Hara - JL/Getty Images for DAZN

 にもかかわらず、事態は深刻に受け止められてはいなかった。そう思わざるを得ない。新潟は進むべき針路を曖昧にしたまま、新たな航海に飛び出し、当然のごとく座礁した。

 1999年のJ2創設時に新規参入した"J2オリジナル10"のひとつである新潟は、2004年にJ1昇格を果たして以来、一度もJ2に降格することなく、日本のトップリーグで戦い続けてきた。

 J1での連続14シーズンは、今季J1の18クラブのなかでは、鹿島アントラーズ、F・マリノス(いずれもJ2降格経験なし)、浦和レッズ(2001年から連続17シーズン)に次ぐ、J1連続在籍記録だった。

 14シーズンもの間には、何度もJ2降格危機に陥った。だが、そのつど苦境をくぐり抜け、J1の座を死守してきた。

 オレンジは落ちない――。サッカーファンの間で、そんな噂がまことしやかにささやかれたこともあった。毎シーズン、オレンジのユニフォームを身にまとうクラブが残留争いに巻き込まれながら、不思議とギリギリのところで踏みとどまってきたからだ。

 しかし、大宮アルディージャが、清水エスパルスが、立て続けにJ2降格の憂き目に遭い、ついに最後の牙城、新潟も陥落した。残留争いをくぐり抜けてきた経験が、成長の糧ではなく、「いずれ何とかなる」と慢心の種になってしまえば、降格危機も"危機"ではなくなる。

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