アルビレックス「らしさ」を失い降格。荒野からの再生に何をすべきか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Masashi Hara - JL/Getty Images for DAZN

 アルビレックスらしさ――。そう聞いて思い出すのは、2013年シーズン大詰めのJ1第33節、横浜F・マリノス戦だ。F・マリノスは9年ぶりのJ1制覇に王手をかけ、勝てば優勝が決まる大一番とあって、会場の日産スタジアムには6万人を超える観衆が詰めかけていた。

 ところが、新潟は出足のいいハイプレスでF・マリノスを圧倒。シーズンMVPに選ばれたMF中村俊輔を中心に、ポゼッションでよし、ショートカウンターでよしの多彩な攻撃を繰り広げて首位を走ってきたF・マリノスを向こうに回し、ほとんど何もさせずに2-0で完勝を収めたのである。

 結果的にF・マリノスは最終節でも敗れ、広島に逆転優勝を許すことになるのだが、新潟のアグレッシブさ、すなわちアルビレックスらしさがどれほどの威力を持ち、どれほど大きなダメージを与えるかを物語る試合だった。

 同じJ2降格でも、そんなアルビレックスらしさを貫いたうえでの結果なら、もう少し納得感もあっただろう。

「やっと10月くらいに戦い方が定まった。うちには若くて走れる選手、戦える選手が多い。走るとか、球際で戦うとかいうことができるようになって結果がついてきた。もっと早くそれができればよかったが......」

 大野はそう語り、表情をゆがめる。

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