アルビレックス「らしさ」を失い降格。
荒野からの再生に何をすべきか

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Masashi Hara - JL/Getty Images for DAZN

 とうとう、"その日"はやってきた。

 クラブに関わる誰もが、おそらくはもはや不可避と知りつつ、それでも信じた奇跡は、ついに起きなかった。

 J1第32節、最下位のアルビレックス新潟は、15位のヴァンフォーレ甲府を1-0で下した。J1残留のためには、ひとつの引き分けさえ許されないなかでの2連勝である。

 しかし、無情にも同時刻に行なわれていた試合で、16位のサンフレッチェ広島がヴィッセル神戸に2-1で勝利したとの知らせが届いた。

 新潟の16位以下が確定、すなわち、J2降格の決定である。

今季初の連勝を飾りながら、J2降格が決まったアルビレックス新潟今季初の連勝を飾りながら、J2降格が決まったアルビレックス新潟 降格決定を受けて試合後に会見を行なった、新潟の中野幸夫社長が「(昨季から)かなり選手が入れ替わったなかで、スタートダッシュが利かなかった」と話したように、今季の新潟は開幕当初から苦しい戦いを強いられた。ようやく初勝利を挙げたのは第7節。1勝7敗2分けで第10節を終えると、今季就任したばかりの三浦文丈監督が早くも辞任するに至った。

 その後、呂比須ワグナー監督を迎えるも、6連敗と4連敗を含めた16試合未勝利が続くなど、浮上の兆しは見えず。10月以降の最近4試合は3勝1分けと、ようやく勝ち点が伸び始めたが、時すでに遅し、だった。

 実際、降格決定は第32節まで引き延ばされたが、第30節を終えた時点で事実上、"詰んでいた"。残り4試合で、15位の甲府との勝ち点差は12。新潟が全勝し、甲府が全敗すれば勝ち点のうえでは追いつけるが、その時点で得失点差が21もあっては、現実的には逆転不可能だった。今季初の連勝も、間違いなく訪れる"Xデー"を先延ばしにするだけに過ぎなかった。

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