長崎J1の陰で、横浜FCは
昇格チャンス消滅。50歳カズの胸中は?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Masashi Hara/Getty Images

 横浜FCは絶好のカウンターを幾度も放ったが、そのプロセスで稚拙なミスが出たり、ゴール前に迫っても決定力を欠いた。

「(後半も)チャンスがなかったわけではない。決め切るところ、守り切るところ。体力というか、頭の回転スピードも止まったというか」(横浜FC・佐藤謙介)

 追加点を挙げられない横浜FCは、浮き足立つ。今シーズンは終盤に失点するケースが多く、"守り抜く"という成功体験に乏しいこともあるのだろう。体力的なものもあるが、精神的な脆さが浮き彫りになった。

 象徴的シーンがあった。GK高丘陽平が余裕を持って蹴り出せるにもかかわらず、誰もいないスペースに蹴り込み、敵にボールをプレゼント。ボールを呼び込もうとしていたイバ、レアンドロ・ドミンゲスの2人が大きなジェスチャーで不満を露わにした。高丘が戦犯というのではない。その直後には、やはり中盤の選手がパスを狙える状況で、焦りからか"明後日"のほうに蹴り、レアンドロがイラついていた。

 蹴り込んで相手に渡すだけでは、再び攻撃を受ける。ゴール前で"事故が起こる確率"が上がるのは必然だった。そして後半アディショナルタイム、横浜FCは洗礼を浴びる。左からのクロスはどうにかクリアするも、拾われてシュートに持ち込まれ、これをGK高丘が必死に弾き出す。しかし再び拾われ、折り返されたボールを押し込まれた。

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