ゴールの余韻に浸ることなく...。
「試合を閉じた」アントラーズの強さ

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 白熱したゲームは、最少得点差で決着がついたように、決して一方的な展開だったわけではない。前半終了間際にはFWラファエル・シルバがゴール前で決定機を得るなど、浦和にもこのパスがつながれば、通ればという好機はあった。

 ただ、鹿島は相手に流れが傾きかけた後半も、選手ひとりひとりがそれを理解し、把握していたからこそ、耐えるところは耐え、仕掛けるところは仕掛けるという適切な働きをした。終わってみれば、浦和のシュートが3本だったことが、その表れであろう。結果的に、彼らは後半、相手に決定機を許さなかった。

 昌子が勝敗を分けたポイントについて言及する。

「試合前に剛さんが、『今日の試合は、見ている人や、やっている人も気づくか気づかないかくらいの小さな、細かいディテールで勝敗が決する』と言っていた。それは横1センチのポジショニングかもしれないし、僕らの攻撃だったり、レアンドロの外が空くという一瞬の隙だったりするのかもしれないけど、そういう小さなことで試合は決まったと思います」

 大岩監督や昌子が言う「小さいこと」の差こそが、得点後すぐにチームとしての戦い方を示し合わせていた姿にも見て取れた。得点が決まる直前には、オーバーラップしてFW金崎夢生との連係からゴール前に侵入するなど、攻守に貢献した山本が言う。

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