セレッソ大阪、ルヴァンカップ優勝。初の戴冠に至る「ふたつの伏線」 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 さかのぼること、およそ1カ月前。アウェーの等々力陸上競技場で行なわれたJ1第28節の川崎戦で、セレッソは1-5の大敗を喫していた。山口が語る。

「アウェーの川崎戦では無駄に前からいくというか、いかなくてもいいところで前からいって5失点してしまった」

 この試合、セレッソは19分に先制を許すと、その後はピッチ上の11人が一体となって戦うことができなくなった。前からボールを奪いにいくのか、引いて守りを固めるのか。早い時間に失点した焦りから意思統一ができなかったセレッソは、次々に失点を重ねた。キム・ジンヒョンも「チームがバラバラになってしまい、相手にスキを見せて5失点してしまった」と振り返る。

 だが、そんな苦い記憶が、この日のセレッソの選手たちに大きなモチベーションを与えることとなった。山口が続ける。

「今日は(前から)いくところといかないところの区別がしっかりできた。慌てずしっかりブロックを作って、カウンターを狙うサッカーに徹したのがよかった。球際で戦えていたし、走れていた。そこが一番の勝因だと思う」

 パンチを打ち続ける川崎に対し、決してガードを崩さないセレッソ。こう着状態が続くなか、先にしびれを切らしたのは、川崎だった。

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