セレッソ大阪、ルヴァンカップ優勝。
初の戴冠に至る「ふたつの伏線」

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 尹晶煥監督が「相手のスキをうまく突いて得点につなげたことが、今日の試合の大きなポイントだった」と振り返ったシーンが生まれるまで、キックオフのホイッスルから1分もかからなかった。

 以降、試合は川崎が攻め、セレッソが守る展開で終始した。セレッソが何度かカウンターを繰り出す場面もあったが、川崎がほぼ一方的に攻め続けていたと言ってもいい。

 だが、川崎がいつ追いついてもおかしくはない試合内容だったかと問われれば、答えは否、である。

 確かに、川崎がセレッソ陣内で試合を進める時間は長かった。セレッソの11人をゴール前にくぎ付けにしてパスを回し、何度もゴールに迫った。しかし、セレッソ6本、川崎11本というシュート数も示すように、敵陣に押し入り続けているという印象ほど、川崎に決定機はなかった。「得点は1点でも勝てる。まずは失点しないこと」と自らの哲学を口にする韓国人指揮官は、こう振り返る。

「選手は高い意識を持ってやってくれているので、(いい守備が)表現できている。とはいえ、ただ守るだけで失点しないわけではない。相手の長所を知って、それを出させないこと。今日はそれが当たった試合だった。ピンチだと思ったシーンもあったが、距離感がよかったので、選手同士でうまくカバーできていた」

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