福田正博も感心する「J1残留スペシャリスト」甲府の強靭なメンタル (4ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 甲府は開幕から勝ち点を伸ばせず、ゴールデンウィーク明けから9月16日の第26節までの16試合は1勝5分け10敗。しかし、第27節にホームで横浜F・マリノスを破ると、翌節は柏を撃破。第29節もFC東京と引き分けて、直近の3試合だけで勝ち点7を稼いでいる。

 この原動力となっているのは、7試合で4ゴールをあげているFWのリンスだ。8月に獲得した新戦力がチームにフィットし始めたことが大きいが、この補強こそ"甲府の真骨頂"と言える。

 今季の甲府のFW陣は、昨年7月に柏から獲得したドゥドゥを軸に、昨年末にサンパウロFCから獲得したガブリエルがパートナーになる予定だった。だが、そのガブリエルが戦力にならないと見るや、6月に登録を抹消してジュニオール・バホスを獲得。そのバホスも機能しないとわかると、やはり登録を抹消してリンスを獲り、さらに9月にはビリーも獲得した。

 こうした補強を、"とっかえひっかえ"と揶揄(やゆ)する声もあるが、資金で恵まれない甲府がJ1に生き残るために見出した術であり、これもクラブ力のひとつだ。また、補強だけでなく、とにかく勝ち点を奪う戦い方に徹することができるのも強み。守備は日本人選手で固め、まだ年俸が安くて「日本で成功したい」という野心に溢れた外国人選手が攻撃を担う。その戦法で、今季もまた降格を逃れる可能性は高いと見ている。

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