福田正博も感心する「J1残留スペシャリスト」
甲府の強靭なメンタル

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 大宮の上は、16位のサンフレッチェ広島から、13位のコンサドーレ札幌までの4チームが勝ち点4差のなかにひしめく団子状態となっている。

 広島は第18節まで2勝5分11敗で17位に沈み、その責任を取って森保一前監督が辞任。7月末からクラブOBのヨン・ヤンソン監督が後を引き継いだ。新体制に移行してからは、G大阪から獲得したFWパトリックとDF丹羽大輝が機能し、システムも3バックから4バックに変えたことが奏功して、4勝4分け3敗と立て直している。

 ただ、過去5シーズンで3度もリーグを制した広島には、残留争い特有のプレッシャーを経験していない選手が多い。第29節は首位の鹿島が相手だったとはいえ、0-2で完敗したのも少なからずその影響があるだろう。広島も上位陣との試合が続くなかで、重圧を跳ねのけられるかに注目している。

 残留争いをするチームのほとんどが、勝ち点を伸ばせずに焦りが生まれるという悪循環に陥るなか、15位の甲府だけは終盤戦を迎えてからも"残留のスペシャリスト"らしい余裕を漂わせている。

 J1に復帰した2013年から、毎シーズンのようにJ2降格の危機にさらされながらも、リーグ終盤で勝ち点を稼いで生き残ってきた。クラブには降格圏を脱するノウハウが蓄積されているため、監督や選手だけではなく、クラブスタッフやサポーターにも慌てる様子が見られないのだ。

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