浦和レッズが「大人の守り」で爆買い上海を完封。再びアジアの頂点へ (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 守備意識を保ち続けた浦和は、押し込まれながらも決定的な場面を招かなかった。唯一のピンチは78分、フッキの強烈なシュートをGK西川周作がセーブするも、こぼれ球に反応したFWエウケソンにふたたびシュートを打たれたシーン。しかし、西川が身体を張ってこれをストップし、最大の危機を免れたのだった。

「試合前から、無失点で終われれば勝ち上がれると、シンプルに考えていた。相手の強力なFW陣に対して、どこまで守れるかをチャレンジしたかった。全員で厳しくいけていたと思うし、ボールは持たれていたけど、怖さというのはみんなが消してくれていた」

 殊勲の守護神は、チーム全員の勝利だと胸を張った。

 アジアでも最高レベルの攻撃力を誇る上海上港に対し、「取られても取り返す」サッカーが身上だった浦和が1-0で勝利するとは、数ヵ月前には思いもよらなかっただろう。

 ポゼッションスタイルを築いたミハイロ・ペトロヴィッチ監督が退任し、堀孝史監督が率いるようになってからわずか2ヵ月半、浦和はその姿を大きく変えている。

 10年前のような個の力はないかもしれない。相手を圧倒する迫力も備わってはいないだろう。しかし、今の浦和は安定した守備組織を備えた「大人のチーム」へと生まれ変わりつつある。泥臭く、逞しく、浦和レッズが10年ぶりのアジア制覇に、あと一歩に迫った。

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