浦和レッズが「大人の守り」で爆買い上海を完封。再びアジアの頂点へ

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 今から10年前の10月24日――。埼玉スタジアム2002で見た光景は、今でも脳裏を離れない。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝の第2戦。アウェーでの第1戦を2-2で引き分けていた浦和レッズは、5万人を超える大観衆が詰めかけたホームスタジアムで第2戦を迎えていた。

突破力のあるフッキ(中央)を2人がかりで抑える浦和ディフェンス突破力のあるフッキ(中央)を2人がかりで抑える浦和ディフェンス 対戦相手は韓国の城南一和。Kリーグ王者との戦いだった。

 試合は21分にワシントンのゴールで先制したが、後半立ち上がりに同点ゴールを許すと、69分に逆転弾を浴びてしまう。しかしその4分後、長谷部誠が起死回生の同点ゴールを叩き込む。2戦合計4-4で迎えた延長戦でも決着はつかず、勝負はPK戦へともつれ込んだ。

 PK戦が始まる直前だった。浦和サポーターがフラッグを携えてゴール裏に集結。相手のキックの際にはブーイングとともに、その旗を激しく振ってプレッシャーをかける。すると、2人目のキックを守護神の都築龍太が見事にストップ。浦和は全員が成功し、5人目のキッカー平川忠亮がネットを揺らすと、埼スタはまさに歓喜の坩堝(るつぼ)と化した。

 ワシントン、ポンテ、田中マルクス闘莉王、長谷部......。当時の浦和はまさに史上最強の陣容を築いていた。この日の戦いでもあっさりと相手ゴールを陥落させ、逆転されてもすぐさま同点に追いつく逞(たくま)しさを示した。終始、自分たちのペースで戦い、相手を力づくでも押さえ込んでしまう迫力が備わっていた。加えて、ゴール裏からの驚異的な圧力。城南一和のPK失敗は、大旗から発せられた逆風がシュートの威力を弱めたことが原因のではないかと思えた。

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