今度こそ絶対、悲願のタイトルを。中村憲剛がフロンターレを頂点に導く (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ところが、ここから想定外の事態が起こる。52分、奈良が2枚目の警告を受けて退場に。数的不利となった川崎Fは、59分に自チームから期限付き移籍で仙台へレンタル中のMF中野嘉大に豪快な一撃をお見舞いされてしまう。この時点でもアウェーゴールでは上回っていたものの、もう1点奪われれば敗退に追い込まれる窮地に立たされてしまった。

「ここで引いてしまったら、あのときと同じような展開になってしまうと思った」

 そう語ったのはキャプテンのFW小林悠だ。あのときとは、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝の浦和レッズ戦を指す。川崎Fはホームでの第1戦を3−1でモノにしながら、第2戦で退場者を出したことをきっかけに4失点。まさかの逆転負けを喫してしまったのだった。

 あのときの川崎Fは、リードを守り抜こうと守勢に回ったことが裏目に出て、浦和の攻勢をもろに浴びてしまった。しかし、この日はブロックを作りながらも、機を見てカウンターを繰り出すことで仙台を牽制し続けた。

 もうひとつ、あのときと違ったのは、中村憲剛がいたことだろう。浦和戦では退場となった左サイドバックのDF車屋紳太郎の代わりにディフェンダーを投入するために、中村が采配の犠牲となっていた。そして結果的に、中村の不在が響いて相手に脅威を与えられず、防戦一方となる一因となっていたのだ。

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