アビスパ、J1自動昇格へ前進。「先行逃げ切り」じゃなくても勝てた (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Masashi Hara/Getty Images

 その直後にも、福岡は気落ちした横浜FCのセンターバックのパスをカット。カウンターから石津がドリブルで持ち上がり、右サイドでボールを受けた仲川が後ろから倒される。このPKを、再びウェリントンが沈めた。

 福岡は1-3の逆転勝利で、2位を堅持している。

「ウェリントンは先発の選択肢もありました。ただ、前半からだと相手もフレッシュで抑えられることもあって、勝ってても、負けてても、後半からのほうがオプションになる、と」(福岡・井原監督)

 福岡は開幕以来、ウェリントンの活躍で勝ち点を稼いできた。しかし、28節から33節までの6試合は2分け4敗と勝ち星がなかった。ウェリントン対策が練られたこともあって、急ブレーキを踏んでいた。そこで後半から相手を押し潰す、という新たな選択肢が生まれた。

「とにかくウェリントンを狙うサッカーで、これではJ1で通用しない」という声もある。しかし、現状はウェリントンをどう生かすか、という視点がすべてだろう。傑出した選手が戦術軸になることは、どのカテゴリーのチームでもあることだ。

「自分たちに矢印を向け、戦っている。相手どうこうではない。先にやられてもこれだけやれる力を示した」(福岡・亀川諒史)

 福岡にとって、退場者などがない同人数での逆転勝利は、横浜FC戦が初めてだった。先行逃げ切りパターンを崩しても勝利したことは、J1昇格に向けて大きな自信になるだろう。福岡は2年ぶりの昇格に向け、一歩近づいた。
 
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