アビスパ、J1自動昇格へ前進。
「先行逃げ切り」じゃなくても勝てた

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Masashi Hara/Getty Images

「前回(2015年シーズン)のJ1昇格は若いやつらのノリが大きかったですね。金森(健志)とか、(中村)航輔とか、とにかく勢いがありました」

 アビスパ福岡の前回のJ1昇格を肌で知るベテランFW、坂田大輔は明かす。当時は勢いに乗ったら手がつけられないチームだった。リーグ戦終盤は、プレーオフも含めて15試合負けなし。一気にJ1へ駆け上がった。

 それに比べると今シーズンの福岡は、「堅守からの先行逃げ切り」が勝利パターンと言えるだろう。じっくりとブロックを崩さず、堅い守備に軸が置かれている。そしてFWウェリントンが前線でボールを収め、一発を叩き込む。

「今回は少なからず、ウェリントン次第のところはあるかもしれませんね」

 坂田の分析は、多くの見方と一致するところだろう。

 10月7日、J2リーグ第36節。2位の福岡は6位の横浜FCの本拠地であるニッパツ三ツ沢球技場に乗り込んでいる。勝てば自動昇格にまっしぐらだが、負けた場合、昇格プレーオフ圏内にいる5~6チームとの団子レースに引きずり込まれる。残り7試合、乾坤一擲(けんこういってき)の一戦だった。

昇格に向けてアビスパ福岡を牽引するウェリントン昇格に向けてアビスパ福岡を牽引するウェリントン「ウェリントンが先発するのでは、と予想していましたが......そこも含め、練っていた対策にいくらかズレが出ました」(横浜FC・中田仁司監督)

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