J1に昇格するだけでは意味がない。モンテディオ山形が描くビジョン (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Masashi Hara - JL/Getty Images for DAZN

 ところが、今季が始まっても思うように白星を並べることができず、11勝10敗14分けの勝ち点47で13位。現段階では、昨季からひとつ順位を上げたにすぎない。日本サッカーのトップリーグであるJ1を経験したこともあるクラブとしては、簡単には受け入れがたい現実だろう。

「勝たなければいけない試合が続くなかで負けて、選手はもちろん思うところはあるし、私自身も思うところはあるし、ファンの人たちも思うところはある。もちろん目標は高いところに置いているので、フラストレーションもたまるし、みんな、そうだと思う」

 目標であったJ1昇格が徐々にその手から遠のいていく状況に、今季から山形を率いる木山隆之監督は、厳しい口調でそう語る。

 現在13位の山形とプレーオフ圏内(6位の横浜FC)との勝ち点差は10。あと7試合しか残されていないことを考えれば、数字上の可能性は残っているとはいえ、現実にはもはやJ1昇格は絶望的な状況である。当然、選手にもサポーターにも忸怩(じくじ)たる思いはあるだろう。試合後のスタンドからブーイングが起きたとしても無理はない。

 しかし、順位はあくまで相対的な指標である。そればかりに気を取られれば、現状を見誤りかねない。

 今季の山形は接戦を繰り広げるものの勝ち切れず、引き分けばかりを増やしてきた。35試合で実に14分けは、J2最多である。だが裏を返せば、山形は簡単には負けないチームになってきたということでもある。山形の10敗という数字は、3位のV・ファーレン長崎などと並び、J2で4位タイの少なさだ。

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