J1に昇格するだけでは意味がない。
モンテディオ山形が描くビジョン

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Masashi Hara - JL/Getty Images for DAZN

 1999年にJ2が全10クラブでスタートして、はや19年。今ではJ2のクラブ数も22まで増え、さらには3部リーグに相当するJ3も生まれ、虎視眈々とJ2入りを狙うクラブも増えている。

 かつては、徹底して守備を固めるだけの退屈なサッカーをするクラブも少なくなかったJ2だが、近年は独自のスタイルを追求するクラブも多く、上から下まで22クラブの力は拮抗している。必然、J1昇格をつかみ取るのも容易ではない。

 今季を見ても、首位の湘南ベルマーレこそ独走状態にあるが、2位のアビスパ福岡から9位の東京ヴェルディまでが勝ち点10差でひしめき合う。J1自動昇格となる2位だけでなく、J1昇格プレーオフへ進出できる3位から6位の争いも熾烈を極めている(第35節終了現在。以下同)。

 そんな群雄割拠のJ2にあって苦しい戦いを強いられているのが、モンテディオ山形である。

 1999年にJ2が誕生したときの"オリジナル10"のひとつである山形は、過去に2度のJ1昇格を経験した。だが、J1の壁はやはり厚く、1度目の昇格では3シーズン(2009年~2011年)で、2度目の昇格時はわずか1シーズン(2015年)で、いずれもJ2へ逆戻りする結果に終わっている。4年間のJ1在籍で最高順位は2010年の13位。現実は厳しかった。

 そして1年でのJ1復帰を狙った昨季は、まさかの14位と低迷。J2でのクラブ史上最低順位に終わった山形は今季、いわばドン底からの再スタートを切ったわけである。

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