エスパルスに悪夢の再現はあるのか。怖いのは「降格に怯える心理」 (5ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Takashi Aoyama - JL/Getty Images for DAZN

 小林監督は「テセが点を取ったことで、選手たちは少し(点を取れない)ストレスから解放されたのではないか」と話していたが、チャンスは作れているだけに、優れたフィニッシャーが戻ってきてくれたことは、第21節(3-2セレッソ大阪)を最後に2点以上得点できていないチームにとっては心強い限りだろう。このところ苦しい戦いが続いている清水だが、ようやく本来の戦闘態勢が整いつつある。

 残り7試合で降格圏と勝ち点4差は、もちろんセーフティーリードとは言えないが、決して小さくはない差である。客観的に見て、慌てるような状況ではない。だからこそ、鄭大世はこう語る。

「今の自分たちの使命は、勝敗に一喜一憂せず、勝ち点を積み重ねること」

 この試合にしても、勝負は紙一重。確かに勝ち点1も取れなかったショックはあるだろうが、この負けを引きずることのほうが、ここで勝ち点を逃したことよりずっと怖い。次節(第28節)は、現在17位と降格圏に沈む大宮アルディージャ。大一番であるのは間違いないが、自分たちはまだまだ降格を恐れるような状況にはないのだと、いい意味で"危機感を持たない"ことが大切だろう。小林監督は言う。

「(降格圏との勝ち点差が)詰まってくるが、前を向いてチャレンジしたい。どのチームも1勝するのに苦労している。ちょっとした油断で(結果が)ひっくり返ってしまう。技術だけでなく、メンタル的にたくましく戦えば、今日のような試合でも勝ち点が取れる」

 残り7試合。他クラブのことは気にせず、自分たちが勝ち点を積み重ねることだけに集中できるかどうか。

 怖いのは、一昨季のトラウマ。「降格」の二文字に怯(おび)えてしまうことだけである。

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