エスパルスに悪夢の再現はあるのか。怖いのは「降格に怯える心理」 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Takashi Aoyama - JL/Getty Images for DAZN

 結局、清水は逆転して勝ち点3を手にするどころか、引き分けて勝ち点1を拾うことさえできなかった。敗れた清水は順位こそ前節終了時と同じ13位をキープしたが、勝ち点は28のままで15位の広島との勝ち点差はわずか2に。同じ日、横浜F・マリノスを3-2で下した16位のヴァンフォーレ甲府との勝ち点差も4まで縮まってしまった。

 まだ記憶に新しい一昨季、J2降格の憂き目を見た清水にとっては、もはや落ち着いて構えてはいられない状況かもしれない。

 とはいえ、この試合に関して言えば、内容的には決して悲観するようなものでなかったことは間違いない。

 特に後半の攻撃には迫力があり、実際、何本も際どいクロスがゴール前に入っていた。広島DFは余裕を持ってクリアすることもできず、かろうじてボールに触ることしかできていなかった。セカンドボールの落下地点が1m違っていたら......。そんなシーンは何度もあった。

 そして何よりの光明は、小林監督が「テセはぶっつけだったが、点を取った。チアゴは頭からいけた。少しずつ(ケガをしていた)選手は戻っている」と話したように、FWチアゴ・アウベスと鄭大世が復帰したことである。

 チアゴ・アウベスは第16節、鄭大世は第19節での出場を最後に、ともにケガにより戦列を離れていたが、勝負のリーグ戦終盤を前に頼もしい2トップがようやく帰ってきた。

 69分からの途中出場ながらゴールを決めた鄭大世はもちろん、前節途中出場でひと足早く復帰したチアゴ・アウベスにしても、この試合では先発して75分までプレー。ゴールはなかったが、多くのチャンスを作り出しており、存在感は際立っていた。

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