劇的な決勝弾すら「平常運転」の鹿島。
ふたたび黄金時代が到来か

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ポジショニングを考えればGK曽ヶ端準のミスとも言えたが、前節のアルビレックス新潟戦に続く早い時間帯の失点は、隙があったと言わざるを得ない。それでも、「失点は反省するべきですけど、引きずるような失点ではなかった」とDF昌子源が振り返ったように、ある意味で事故に近い一発は、鹿島にみなぎる自信を揺るがせるものではなかった。むしろこの1点が引き金となり、チームにスイッチが入ると、攻守両面において次第にG大阪を凌駕していくようになる。

 縦に速い攻撃で相手を揺さぶると、たとえパスカットを許しても、すぐさま奪い返してふたたび攻撃に打って出る。「前半は少しオープンな展開になってしまった」と永木は振り返ったが、前に前にと圧力をかける鹿島の攻撃は、G大阪守備陣を大いに苦しめた。

 そして前半アディショナルタイムにMF中村充孝がエリア内で倒されてPKを奪取。キッカーのFW金崎夢生が蹴ったボールはGK東口順昭に阻まれたものの、こぼれ球をMFレアンドロが詰めて前半のうちに追いつくことに成功した。

 後半は、まさに一方的な展開だった。同点に追いついたことで縦への威力は弱まったが、サイドに揺さぶりをかける本来の鹿島の攻撃が生み出される。67分に、売り出し中のFW安部裕葵が途中からピッチに立つと攻勢はさらに強まり、G大阪を自陣に釘づけにした。

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