監督交代で勝ったFC東京への疑問。ところで来季はどこへ向かうのか (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 ミスも多く、流れのなかからはそれほどチャンスを作れなかった。洗練されていたとは言えないものの、わずか1週間の準備期間でFC東京のサッカーは確かな変化を示していた。

「ひとりひとり能力の高い選手が多いので、やることがはっきりすれば、そこに向かって100%の力を出せるチームだと思う。だから不安はなかったですね」

 髙萩は新たなサッカーに、小さくない手応えを掴んでいるようだった。

「初めてこのチームですっきりした試合だった。今後につながっていくと思う」

 いつもは辛口なFW大久保嘉人も、この日は笑顔で振り返っていた。

 前体制下ではストレスの溜まる戦いを続けていたFC東京が、ひとつの希望を見出した。その意味でクラブが下した監督交代の決断は、ひとまず奏功したと言えるだろう。

 しかし、ここでひとつの疑問が浮かんでくる。果たしてこの前向きさは、どこを目指しているのだろうか。安間監督はあくまで"暫定"に過ぎず、すでに来季の監督候補の名前がメディアを賑わせている。おそらく安間監督は今季限りでその任務を終えるだろう。つまりは今季を乗り切るための一時的な措置に過ぎず、"場つなぎの改革"であるということだ。

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